使用した添加物は次の4つの区分にしたがって表示します。

≪添加物の表記区分例≫
区分 表示例
 用途名および物質名を併記  甘味料(ステビア)
 保存料(ソルビン酸K)
 物質名表示  クエン酸
 一括名で表示できるもの  イーストフード、ガムベース、かんすい、酵素、光沢剤、
 香料・合成香料、酸味料、乳化剤、軟化剤、調味料、
 豆腐用凝固剤・凝固剤、pH調整剤、膨張剤・膨脹剤・
 ベーキングパウダー・ふくらし粉、苦味料、増粘多糖類
 表示を免除されるもの  キャリーオーバー、加工助剤、栄養強化の目的の場合
 (個別 の品質表示基準に記載されているものを除く)


表示の原則
 a. 使用した添加物は、化学的合成品と、天然物とを区別することなく原則としてすべて指定の文字を用いて
   表示する。「天然」等の表現は認められない。
 
 b. 次表の8種類の用途に使われるものは用途名に物質名を( )書きで併記すること。
  ・増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料のように、用途名が2種類以上ある場合は、その使用目的にもっとも
   適切な用途名に併記する。
  ・物質名の中に色の文字を含む着色料は用途名を省略できる。
   表示例(食用赤色3号の場合)
    「着色料(赤色3号)」、「着色料(赤3)」、「赤色3号」のいずれでも良い
    ※ただし「赤3」「エリスロシン」は色の文字を含まないので、用途名に併記する必要がある。
 ・増粘多糖類を増粘剤の目的で使用した場合は「増粘多糖類」と表示できる。ただし、安定剤、ゲル化剤、
  糊料の目的で使用した場合は併記する必要がある。
  (例)安定剤(増粘多糖類)

≪用途名及び物質名を併記すべき添加物≫
用途名 物質名(例)
 @ 甘味料  D-ソルビトール、アスパルテーム、キシリトール、甘草、
 サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム など
 A 着色料  赤色3号、赤色102号、青色1号、青色2号、黄色4号、
 黄色5号、カロチン色素、カラメル色素、コチニール色素、
 クチナシ色素 など
 B 保存料  ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸 など
 C 増粘剤、安定剤、ゲル化剤または
    糊料
 アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ペクチン など
 D 酸化防止剤  ビタミンE、エリソルビン酸、L-アスコルビン酸(ビタミンC)、
 ジブチルヒドロキシトルエン(BHT) など
 E 発色剤  亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム
 F 漂白剤  亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸ナトリウムなど
 G 防かび剤または防ばい剤  チアベンダゾール(TBZ)、ジフェニール(DP)、
 オルトフェニルフェノール(OPP)、イマザリル など

 c. b.以外のものは物質名を表示する。(一部、一括名で表示できる)

 d. 添加物名は食品衛生法で定められた簡略名又は類別名で表示することができる。
   (例)DL-酒石酸、dl-酒石酸、酒石酸のいずれの表現もさしつかえない。

≪添加物を表示する場合の指定文字の例≫
品名 簡略名
類別名
不適切な表示例
慣用名 別名
 β-カロテン  β-カロチン  カロチン、カロチン色素、
 カロチノイド、カロチノイド
 色素
 食用赤色3号  エリスロシン  赤色3号、赤3  R3、赤3号
 L-アスコルビン酸  ビタミンC  アスコルビン酸、V.C  V・C
 DL-酒石酸  dl-酒石酸  酒石酸  酒石
 ソルビン酸カリウム  ソルビン酸K  ソルビン酸カリ
 二酸化硫黄  無水亜硫酸  亜硫酸塩、二酸化イオウ  亜硫酸
 オルトフェニルフェノール  OPP
 ニコチン酸アミド  ナイアシンアミド  ニコチン酸ナイアシン  ニコチン
一般に品名中の元素名は次のように簡略されます。
【カルシウム→Ca】
【ナトリウム→Na】
【カリウム→K】

 e. 同種の機能の添加物を併用した場合は簡略名で表示することができる。クエン酸とクエン酸ナトリウム
   →クエン酸(Na)

 f. L-グルタミン酸ナトリウムなどを一括名、調味料として表示する場合は、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩
   のグループ名を併記する。
    (例)調味料(アミノ酸)、調味料(有機酸)
     2種以上のグループを併用する場合は、代表となるグループ名に等を付して併記する。
    (例)調味料(アミノ酸等)、調味料(有機酸等)

 g. 複数の添加物を併用して一括名表示した場合は、代表となる品目の物質名に等を付して併記できるが
   単独の添加物使用の場合は、併記しない。
    (例)酸味料(クエン酸等)、乳化剤(レシチン等)

 h. カラギナンなど
   増粘安定剤を2種以上使用した場合は「増粘多糖類」と一括名で表示できる。

 i. アスパルテームを含む場合は「L-フェニルアラニン化合物」を含む旨を併記する。

 j. 物質名の表示をする場合「含有」、「使用」、「含む」、「添加」などの文字は表示しなくてもよい。


表示の省略
 次の場合表示を省略することができる。
 a. 加工助剤
  加工の際に添加されたが@最終食品から除去されるか、またはごくわずかな量しか残存せず、その食品
  に何の影響を与えないもの、A食品中に通常残存する成分に変えられ天然の成分量を優位に増加させ
  ないもの。
   (例)数の子の漂白に使用した過酸化水素

 b. キャリーオーバー
  最終食品メーカーが添加していなくても原材料から持ち込まれ、最終食品に存在することがある。この場
  合次の4つのすべての条件を満たせば省略できる。
  @.原材料に対して添加が認められている。
  A.その量が原材料に許可された最大量を超えない。
  B.食品中の添加物量が原材料由来の量より少ない。
  C.持ち越された量が食品中で有意に効果を現さない。
   (例)せんべいの味付け用に、安息香酸(保存料)を使用したしょうゆ

 c. 栄養強化の目的で使用される食品添加物 
  ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類がある。
  ただし、栄養強化の目的が考えられる添加物であっても、栄養強化以外の目的で使用する場合は、物質
  名を表示しなければならない。なお調整粉乳及び個別にJASの品質表示基準が決められた品目の一部
  については栄養強化の目的で使用されるものであっても他の食品添加物と同様に表示しなければならな
  い。
   (用語の制限)
   使用した原材料及び製造する食品の製造工程の中で、添加物を使用したものに次の表示を行うことは
   適切ではない。
    「添加物一切使用せず」「添加物使用せず」「無添加」「保存料・着色料等は一切使用せず」


加工でんぷんの表示
 加工デンプンはこれまで食品のでんぷんとして取り扱われてきましたが、そのうち11品目については添加物
 として指定されます。よって、原材料表示を行う際は、物質名の記載が必要になります(用途名が必要な場
 合は用途名併記)。また、簡略名は「加工デンプン」等です。
 一方、食品添加物の扱いにはならない11品目以外の加工デンプンについては、「加工」の文字を付記せず
 「デンプン」「でんぷん」「澱粉」等と表示し、食品の扱いになります。




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